2007年8月25日 (土)

福岡伸一『生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)』講談社、2007年5月

 
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891) Book 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)

著者:福岡 伸一
販売元:講談社
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 これは、贔屓にしているラジオ番組で著者がゲストスピーカーとして話しているのを聞いて、手に取ってみたのだが、うわーっと一気に読んでしまった。理系から究極に離れた場所にいる私でも、それだけのインパクトを持たせる本。面白い!!

 内容は帯にも書かれているが、「生物とはなにか?」という定義に対する著者の現時点の考えと、そこに至るまでの取り組みを平易に書いたものである。

 もちろん、後半の核心部分(細胞分子生物学)は面白いのだけれど、その前提として描かれるさまざまな科学者達の物語は目が離せない。しかし、ただ面白いだけでなく、前半で述べられるDNA構造と同じように、トピックの鎖はきちんと一つの主題へとつながっているのである。それがすごい。

 ポスドクの話や、学会誌への論文掲載までの話なんかは、共感し、つい同化して読んでしまった(^_^;)。いや、どこの世界も一緒ですな~。

 そして、やはり一番は「動的平衡」ということになりましょうか。あまり書いてしまうといけないかもしれませんが、この言葉の意味を知ると、何気なく目に映っていた全ての生物に対する見方が変わるかも。

 是非一度読んでみてください!本当にお薦めです(^^)/

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2007年6月18日 (月)

荻原浩『なかよし小鳩組』集英社文庫

いろいろなことがどどど~っと、押し寄せてきて、さすがにお疲れ気味のmy脳。

そこで、気晴らしに小説を読んだ。本当に久しぶり。半年ぶりくらいかも。読んだのはこれ↓↓

なかよし小鳩組 Book なかよし小鳩組

著者:荻原 浩
販売元:集英社
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 手に取ったのは、ずばり、題名と、背表紙のミニ解説で興味をそそられたから。

一気に読んだのだが、着想は面白く、登場人物もそれぞれに個性をもっていて、良いと思う。

 一つ気になったのは、途中で間延びするような感じがあるところ。

 物語全体を冗長にしていて、ちょっとキズ。でも、よい気分転換になりました。

 この前編として、『オロロ畑でつかまえて』というのもあるらしいので、興味を持った方は、読んでみてはいかがでしょうか(^_^)v

オロロ畑でつかまえて Book オロロ畑でつかまえて

著者:荻原 浩
販売元:集英社
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2006年9月 8日 (金)

網野善彦『日本中世に何が起きたか』洋泉社新書2006/5

026728830000_s    この本は1997年に出されたもの(日本エディタースクール刊)を新書にしたものである。
中身は講演や対談録が多いし、副題が「都市と宗教と「資本主義」」とあるので、一見つながりがあるようには見えないが、中身を読んでいくと、網野氏のなかにある歴史学に対する考え方-戦後社会への眼差し-が如何に網野氏の研究姿勢と密接であったかがよく分かる。
 さらに、新書版では本編もさることながら保立道久氏の解説が付いている。この保立氏の文章がとても素晴らしい!この部分を読むだけでも、この本を買う価値はあると思う。
 保立氏は研究上で「乗り越えるべき」対象であった網野氏とどのように接してきたかを述べる。そのなかでは網野氏の研究を批判しつづける保立氏の姿があり、それは網野氏が亡くなる直前まで続いていた事がわかる。網野氏は保立氏の批判に辟易としながらも、晩年まで真摯にその批判に応えようとするのである。最後に保立氏は網野氏に「降伏」するのだが、このような二人の関係をみるに、研究者かくあるべしと痛切に思う。
 保立氏の文章の行間からは研究者、そして人間網野善彦に対する畏敬を含んだ親愛の情がひしひしと感じ取れる。
 この文章は保立氏の網野氏に対する追悼文なのだろう。

Book 日本中世に何が起きたか―都市と宗教と「資本主義」

著者:網野 善彦
販売元:洋泉社
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2006年8月22日 (火)

関和彦『古代出雲への旅-幕末の旅日記から原風景をよむ』中公新書2005.6

古代出雲への旅―幕末の旅日記から原風景を読む Book 古代出雲への旅―幕末の旅日記から原風景を読む

著者:関 和彦
販売元:中央公論新社
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 関氏が長年調査してきた実地調査の成果が十分に生かされている。書き方が平易なため、旅行記としても読みやすく、出雲国風土記の世界がビジュアルにうかぶ好書。
 また小村和四郎をはじめとする幕末の出雲に暮らす人々の息遣いが間近に感じられ、彼等と時間を越えて直に対話しているように感じられる。

 江戸時代の風土記研究が、現在の風土記研究の礎になっていることは否めない。
 ただし、その場所の風景は現代、めまぐるしく様変わりし、また、この本にも書かれているように、幕末に松江藩は風土記社の選定を行っている。これが正しい比定であったのかを、後世の研究者は検証する必要があるだろう。

 関氏の取り組みは詳細な実地踏査や文書調査にもとづく、検証的風土記研究の第一歩として評価すべきものであるだろう。

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2006年7月19日 (水)

松井章『環境考古学への招待』岩波新書2005.1

環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争 Book 環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争

著者:松井 章
販売元:岩波書店
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 松井さんの研究については、以前秋田城でのトイレ遺構発見の際に知る機会があり、その後、大田区立歴史資料館のトイレ展示でも勉強させていただいた。この本ではトイレだけではない、松井氏の研究の幅の広さを確認できたと思う。環境考古学の重要性も十分すぎるほど念押しされているし。個人的な位置付けだと、トリビア的本といったらよいのかな。ただし文体がちょっと…(^_^;)。

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2006年6月14日 (水)

内田樹『態度が悪くてすみません』角川oneテーマ21,2006.4

態度が悪くてすみません―内なる「他者」との出会い Book 態度が悪くてすみません―内なる「他者」との出会い

著者:内田 樹
販売元:角川書店
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 この本の作者、内田樹(いつきと読む)さんはフランス哲学の専門家である。
でも、これ以外にも『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)など、タイトルを見ただけでも面白そうな本をたくさん書いている。
内田さんはものすごく筆が速い方のようで、「あとがき」をみるに、一年間で50本以上、いろいろと文章を書いていらっしゃるようである!すごい!私のように遅筆な人間は脳みその1%でももらいたいくらいだ。

この本の中身はその中でも最近書かれたエッセイ、コラム、書評などの集成らしい。
私がこの本に惹かれたのは帯に「相手に「すみません」と言わせたらアウトです」と書いてあったこと。読んでみて、私もよくそういう意味で「すみません」を使ってるなあと一人で納得したのであった。
 導入からして面白いのだけれど、中には哲学的な真面目っぽい話もあり、「大瀧詠一の系譜学」あり、「靖国問題」ありと多種多様なものが入っていて、飽きっぽい私でも2日で読破できたので、こういう文体やものの考え方が好きな方にはオススメできる1冊。
 ちなみに内田さんが紹介している漫画のなかで、私の一番は川原泉の『銀のロマンティック…わはは』。是非読んでもらいたいなぁ(^_^)/

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2005年9月14日 (水)

塩野七生『ローマ人の物語 ローマは一日にしてならず(上)』

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)    新潮文庫 Book ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) 新潮文庫

著者:塩野 七生
販売元:新潮社
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 ひさびさに小説を読んだ。個人的には小説全般は苦手だ。特に歴史系は、これまでの人生で数えるほどしか読んだことがない。小説家についてではなく、「司馬史学」といって群がる人々の気持ちが理解できないのだ。「自分のやってきた学問は…」と子供っぽくムカムカしたりするので、読めなかったという方が正確かもしれない。

 でも、最近はようやく思い直して小説を読もうと思っている。やっと、自分の中で歴史に対して客観的な見る眼ができてきたのかもしれない。でも研究テーマとは離れた『ローマ人の物語』を選んでるあたり、まだまだかも。

 この本のなかで、はっとする部分がいくつかあった。例えば、以下のような。

 「改革とはかくも怖しいものなのである。失敗すれば、その民族の命取りになるのは当然だが、成功しても、その民族の性格を決し、それによってその民族の将来まで方向づけてしまうからである。軽率に考えてよい類のものではない」(p.172)

「急進派の考えは常に穏健派より明快なものである。」(p.184)

 この文にはっとしてしまうのは、つい先日行われた選挙の記憶によるものなのか…。
 自分の現在置かれた環境について考えさせられることしきり。

 「歴史は繰り返す」

 この一言につきるのだろうか…

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